教師論のバイブル
研究会・学習会等でご一緒させていただく佐藤先生の新刊です。
- 作者: 佐藤正寿
- 出版社/メーカー: ひまわり社
- 発売日: 2008/12
- メディア: 新書
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名刺に書かれたHPを見て、「脳天を割られたような衝撃」を受けました。
そこには、今までの実践がUPされていましたが、どれも「誰にも真似できない」「自身をひけらかす」などとは、最も遠い所にある「ごく普通」「常に謙虚」「誠実」な実践でした。
でも、そのごく普通・シンプルこそ、誰よりも深い教材研究に裏打ちされたものなのです。
同じぐらいの教員生活を送ってきたはずなのに、何を私は残してきたんだろう。人に対して、言い訳はしてこなかったが、どこかで「これぐらいやったんだから」と自分に言い訳をしてきたんだろうと思ったら、本当に恥ずかしくなった。それが出会いでした。
本書は、これまでの教員人生(と言っても、今年から教頭職で、まだまだ長い教員人生があります。)を振り返った1冊です。
採用試験は3度落ち、絵や音楽はだめ。運動神経もいいわけではない(本書より)佐藤先生が、新採の学級でうまくいかなかったことから、何とか「教師としての力をつけるためにに、努力をしよう。」と決心し、その決心をずっと続けてきた教師記録でもあります。
新採用の時のクラスがうまくいかない教員は、全国にたくさんいると思います。でも、佐藤先生が、その他大勢のうまくいかない教員と違うのかというと、努力しただけなのです。
その努力が半端でないことは、本書を読めばよく分かります。教育書を給料の2割(月 10冊買う)。学級通信を毎日書く。休日に研究会に自腹で出かける。しかもそれが20年以上続いているのです。
私は、佐藤先生に会って話を聞くたびに「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉を思い出します。学び続けている人は、本当に謙虚であり、誠実です。
私は本書の読まれ方として、まずは教員を目指す学生に読まれて、教師という職業を魅力あるものとして感じてくれるように。次に、まだまだ教員人生が長い若い先生方のこれからの指針となるように。そして、中堅に達した先生やリーダーの先生方には、教師としての生き方や、仕事の仕方、授業つくりについて若い先生方に伝えるために。そして、一般の方々には、日々努力する教師がいることを知るために。読まれることを期待しています。
※ 書いた時に「価値ある出会い」というタイトルにしたのですが、後になって、「教師論のバイブル」
というキャッチコピーを思いつきました。一人の教師が教師生活を振り返った書は、いくつかありますが、どれも「超高名で、全集レベルの著作」がある方ばかりです。ですので、ごく普通の教師の姿については、類書はありません。(もちろん、ごく普通ではありませんが)
そういう意味で、教職の魅力を(もちろん努力付き)をあますところなく伝えたこの本は、「教師論のバイブル」として、版を重ねて読み継がれていって欲しいと思いました。