いのちの食べかた

 多分多くの中学校で購入されていると思われるシリーズに、理論社の「よりみちパン!セ」シリーズがあります。2004年の創刊で、今年の6月からは第5期のシリーズが出ています。
 出版コンセプトは、HPによると
 

学校でも家庭でも学べない、キミが知りたいこと、知らなかった世界のことを、魅力的なおとなたちが心をこめて、書き下ろします。

であり、当代における著名な方が書き下ろしています。中・高校生向きのこの手の本は、「岩波ジュニア新書」がありますが、こちらは結構内容量も多く、パン!セは、より手軽に・・と言った感じです。

第1期に出版された本に 

いのちの食べかた (よりみちパン!セ)

いのちの食べかた (よりみちパン!セ)

があります。その他の第1期本には、重松清田口ランディみうらじゅん氏らが執筆者に名を連ねています。

 今回小学校図書館本として購入しました。

 この本は題名から受ける印象だと、「人は、豚や牛を食べないと生きていけない」ことを、ちゃんと意識しようよ・・。という感じのような気がするのですが、実は再読してみて「メディア論」だなと感じました。

 筆者の考えがストレートに表現されているのは、以下の部分です。

 

・・人から聞いたり読んだりするよりも、自分の目で見るほうが絶対いい。何だってそうだ。体験できることならしたほうがいい。
 なぜなら、誰かが体験した事実は、誰かに伝えられる時点で、すでに事実じゃない。その誰かの目と耳を通した情報だ。興味の持ち方は人それぞれだ。
 そして興味の持ち方が違えば視点も変わる。視点が変われば情報だって変わる。もしも君が自分の目で見て自分の耳で聞いたなら、全然違う光景が見えていたかもしれない。テレビのニュースや新聞記事だってそうなんだよ。ディレクイターや記者と呼ばれる人たちが、自分の視点で見て聞いた情報だ。この本だってそうだよ。君がこれから読むのは、この本の著者である僕が、と場で見て聞いたことを、文字を使って再現する光景なんだ。

 また、何度か「大切なのは知ることだ」というフレーズが出てきます。「情報を読み解く」ことの大切さを知る上で、いいテキストになると思いました。

 本書には、部落差別問題として1963年に狭山市で起きた「狭山事件」についても触れられています。私は、狭山事件の2審判決の時に中学生でした。当時私のクラスでは、週に1度の自由裁量の時間?に同和問題について学習しており、授業で判決について意見を述べ合った記憶があります。
 
 社会の中の一員として生きるためには、社会の出来事に無関心ではいけないということを教えてくれたのが中学の担任だった・・と気がついたのは、社会人になってからのことです。


おまけ
 この日記を読んだ高1の次女が、「よりみちパン!セは、中学に絶対いい!」と推薦していました。
 おススメ2作家
 

みんなのなやみ (よりみちパン!セ (01))

みんなのなやみ (よりみちパン!セ (01))

みんなのなやみ〈2〉 (よりみちパン!セ)

みんなのなやみ〈2〉 (よりみちパン!セ)

気分はもう、裁判長 (よりみちパン!セ)

気分はもう、裁判長 (よりみちパン!セ)

 特に北尾トロをお気に入りで、裁判関係本を何冊も読んでいました。