連載小説

 「小説」や「ノンフィクション」の続きを待ちこがれる」という経験を初めて知ったのは小学校6年生でした。当時話題になっていた、地元の方の書いたノンフィクションを担任が何ヶ月もかけて読んでくれたのです。
 「続きを知りたい」と本当に思いました。

 私の「続き物を読む」という原点は多分、ここにあります。

 今、毎日新聞で連載しているのが、
 
 林真理子さんの「下流の宴」です。3月1日からの連載です。

 面白いからと続けて読み出したのはしばらくたってからですが、久しぶりに「新聞が待ち遠しい」状態になっています。

 社告によれば、

 「下流の宴」は、中年女性が主人公。自分たちはそれなりの教育を受け、平穏な家庭を営む中流だと思っていたら、息子がいきなりレールを外れてニートになってしまいます。アルバイトをし、彼女ができたのはいいけれど……。身近で起きる格差社会の現実をリアルに、けれど明るい筆致で描きます。

 作者林さんの言葉

 時代と共に価値観は変わるものであるが、この数年の変化は凄(すさ)まじい。
 私の年代のものが昨日まで信じていたものが、今日には否定されるような感じを持つ。いや、否定というようなエネルギーが必要なものではない。ただずるずると別の方向に流れていくだらしなさのような気がする。「下流社会」という言葉が言われて久しいが、それは本当に遠い場所にあるのだろうか。

 物語は自分たちが中流階級だと信じきっていたある夫婦の家で始まる。ある日気がつくと、子どもは完璧(かんぺき)に下の社会へ組み込まれていた、そこで起こる恐怖と驚き、悲喜劇。もちろん救いは書くけれど、それが救いといえるかどうかわからないのが今の日本だ。

 今は、この主人公が息子(ニート)の彼女に「うちの子とあなたは育ちが違う」と罵倒してしまい、その言葉をバネに、「じゃ、私が医者になれば・・・」とその彼女が医学部予備校の門を叩くという所です。

 日曜版の連載は、児童書(YA)も書く角田光代さんで、こちらも、必読しています。当然日曜日には、西原理絵子さんの「まいにちかあさん」もあり、充実の紙面となっています。

 連載小説をこうして楽しみに読むなんて、ここずっと忘れていた感覚なので、結構嬉しいものです。

 (過去、一番楽しみにしていたのが、高校時代の「週刊現代」連載、五木寛之青春の門」なんてすでに30年前??)