北川達夫氏 静岡初講演
演題
次世代型学力を育むために
−フィンランドの言語教育の事例から−
フォンランドの日本大使館勤務(外交官)を経て、現在 (財)文字・活字
文化推進機構 の言語力推進プロジェクト調査研究委員 の北川氏は、今日の沼津が、静岡初講演だそうです。
きちんとレジュメを用意され、講演というより、講義でした。しかも100分。講演の始めに
「教育の理想郷は存在しない。今日は、フィンランド教育の良い所を紹介するが、同じぐらい悪い所もある。それを心に留めておいて欲しい。」と前置きされ、悪い例として、男女差が、2位であると紹介されました。
一言でまとめると
今教育界に求められているのは、「生きる力を育む」ことであり、そのためには、次世代型の集団的問題解決力と対話力が必要である。
↓
「対話」とは何か、なぜ、必要なのかについて。
この「対話とは」というのに、30分は話され、それが今日の一番の聴き所でした。私が腑に落ちたのは、話し合いを「対論」「対話」「会話」の3つに分類し、その違いを明らかにした上で、「対話」を「価値観の共有を前提としてないコミュニュケーション」(=グローバルコニュニュケーション)であり、いちいち言わなくても分かるというのではなく、「いちいち言っていく」ものである。と定義付けられていることでした。
そして、「対話」が難しい理由、「対話」を阻むもの、「対話」を育むものの説明があり、特に「対話」を阻む4つの理由が、印象に残りました。
曰く
1 「自分の意見」=「自分自身」という発想
・フィンランドでは、誰かが発表した時点で、皆(共有)の考えとなる。
2 教養主義的発想
・知識や経験が多い人の方が素晴らしいという考え
3 特殊性への逃避
・対話を拒んでいる。一番の多いのは、日本は特殊だから。
(PISA型読解力の時もそう)
・全員が「特殊」と逃げていたら、意味がない。
4 価値の絶対化
・考えさせるけれど、都合の良い所だけ考えさせるのは押しつけである。
です。
最後に、対話型話し合いの段階を示され、「対話力の必要性」でまとめられました。
講演の前は、単純にフィンランド教育の紹介であろうと予想していたのですが、全く違う話でした。
講演会では、ずっとメモを取りながら聞き入りました。
講演の冒頭で、「次世代型学力」とは、PISA型読解力であり、言語力であると明言されたのですが、「生きる力」について、具体的な示唆をいただき、「元気の出る」講演会となりました。
参考文献として勧められた本(1冊も知らなかった・・)
対話力を育てる―「共創型対話」が拓く地球時代のコミュニケーション
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