新学習指導要領 告示

 文部科学省が、3月28日、幼稚園教育要領、小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領の改訂を告示し、各教育委員会等に改正通知を発出しました。

※(発出)という言葉を使うのだと、初めて知りました。

小中学校では平成21年度から移行措置に入り,小学校は平成23年度,中学校は平成24年度から全面実施されます。
 個人的には、教員生活最後の改定になります。

 学習指導要領改定の基本的な考えは、

 
 教育基本法や学校教育法の改正などを踏まえ、
「生きる力」をはぐくむという学習指導要領の理念を実現するため、
その具体的な手立てを確立する観点から学習指導要領を改訂します。  

と、文科省HPにあります。

 <具体的な手だて>は、例えば、読書に関してだと以下のようになります。

 国語の内容は、
A 話すこと・聞くこと
B 書くこと
C 読むこと
  です。

 その C 読むことに関して 次のような言語活動を通して指導するものとする。という例示がありますが、その部分がかなり増えました。

 
1・2年生
 

現在
 
 昔話や童話などの読み聞かせを聞くこと,絵や写真などを見て想像を膨らませながら読むこと,自分の読みたい本を探して読むことなど


 新

ア 本や文章を楽しんだり,想像を広げたりしながら読むこと。
イ 物語の読み聞かせを聞いたり,物語を演じたりすること。
ウ 事物の仕組みなどについて説明した本や文章を読むこと。
エ 物語や,科学的なことについて書いた本や文章を読んで,感想を書くこと。
オ 読んだ本について,好きなところを紹介すること。



〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。

ア 伝統的な言語文化に関する事項
  (ア)昔話や神話・伝承などの本や文章の読み聞かせを聞いたり,発表し合ったり すること。

3,4年生 

現在
 
 読んだ内容などに関連した他の文章を読むこと,疑問に思った事などについて関係のある図書資料を探して読むことなど

 新

ア 物語や詩を読み,感想を述べ合うこと。
イ 記録や報告の文章,図鑑や事典などを読んで利用すること。
ウ 記録や報告の文章を読んでまとめたものを読み合うこと。
エ 紹介したい本を取り上げて説明すること。
オ 必要な情報を得るために,読んだ内容に関連した他の本や文章などを読むこと。




〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア)易しい文語調の短歌や俳句について,情景を思い浮かべたり,リズムを感じ取りながら音読や暗唱をしたりすること。
(イ)長い間使われてきたことわざや慣用句,故事成語などの意味を知り,使うこと。

 5,6年生

現在
 読書発表会を行うこと,自分の課題を解決するために図鑑や事典などを活用して必要な情報を読むことなど


ア 伝記を読み,自分の生き方について考えること。
イ 自分の課題を解決するために,意見を述べた文章や解説の文章などを利用すること。
ウ 編集の仕方や記事の書き方に注意して新聞を読むこと。
エ 紹介したい本を取り上げて説明すること。
オ 必要な情報を得るために,読んだ内容に関連した他の本や文章などを読むこと。




〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1)「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア)親しみやすい古文や漢文,近代以降の文語調の文章について,内容の大体を知 り,音読すること。
(イ) 古典について解説した文章を読み,昔の人のものの見方や感じ方を知ること。

 今まで、「読むこと」としか記述がなかったのが、
1,2年生「感想を書く」「紹介する」
3,4年生「感想を述べあう」「説明する」
5,6年生「自分の生き方を考える」「説明する」

 など、読んで「発信する」ことが求められているのが特徴だと思います。

 本年度の読解の授業で、意識して取り上げたことが多く、当然関連書籍もほとんど配架済みです。特に〔伝統的な言語文化〕「自分の生き方を考える」については、本年度かなり重点的に揃えました。
 また今後の課題として、1,2年生で「科学的な本」が取り上げられているため、こちらは、来年度以降意識して、読みきかせなどで紹介していこうと思いました。

 また、多分、どの児童書出版社も、この改定を受けて、関連書籍を出版すると思います。総合的な学習(環境、福祉など)英語、食育・・・と、そのたびに「セット本」が出版されてきました。
 どの書籍が必要で、使えるかどうかの「目利き」が今以上に必要になってくると思っています。
 
 2010年の図書館大会は、完全実施の前年度になり、重要な意味を持つのだと改めて思いました。