ボストン夫人と林望先生

 学校の絵本コーナーの中に

THE MAN おぢさん

THE MAN おぢさん

を見つける。これは、絵本と言っても、ブリッグズの他の絵本同様コマ割りになっていて、しかも果てしもなく字が細かい。30分で読めないこと確実な絵本です。
 とある男の子の寝室にこびとのおじさん(←「じ」はちに濁点)がやってきて、3日間好き勝手やっていくだけの話です。でもおじさんの言葉にはかなり辛辣な風刺が込められているので、小学生の場合、本の読める子でないと無理かなと思います。


 で、今日はこの本の紹介ではなく、あの林望(リンボウ)先生さんがイギリスに行った時に住んでいたのが、ボストン夫人の居館だったという話。

 この話は、ベストセラーになった

イギリスはおいしい (文春文庫)

イギリスはおいしい (文春文庫)

シリーズのどこかに書いてあって、私はビックリ仰天したのです。
 それは、ボストン夫人の書いた
グリーン・ノウの子どもたち (てのり文庫 (566C007))

グリーン・ノウの子どもたち (てのり文庫 (566C007))

を学生時代に読んだときに、勝手にもうかなり前(50年ぐらい)に書かれたものだと思っていたからです。だから、ボストン夫人と林望先生が同じ館で暮らしていた時期があるなんて、考えても見ませんでした。

 この「おじさん」のあとがきにも、その思い出が書かれています。

 ボストン夫人という人は、きわめて理知的で合理的な思考をする人であった。そうして甘っちょろい感傷とは無縁の人でもあった。彼女はいつも冷徹にものを見、そして辛い言葉でそれを語った。彼女の書く英語は、かなり難しく、けっして子ども向けの甘口な言葉ではない。

 林望さんは、続けて書きます。

 

私はこの本を訳しながら、いつもそういうボストン夫人の人となりを思い浮かべ、そうして、その同じイギリス魂を作者のブリッグズにも読んだ。

 興味ある方は、是非手にとって読んでいただきたいと思います。