児童文学の魅力

 9月24日(土)の毎日新聞「企画特集 SPORTS まいんど」は
あさのあつこさんのインタビュ−記事だった。

 

(前略)野球の物語を書きながら思った。スポーツを陳腐な物語に貶めてはいけない。甲子園にしろ、オリンピックにしろ、地方大会にしろ、そこにあるのは、スポーツのプレイそのものだけだ。
 選手個々の肉体と精神が織り成すプレイのみ。そこに、友情の物語とか家族の物語とか師弟の物語とか、涙を呼び、感動を起こす物語を被せてはならない。それは、心底、スポーツの美しさに魅せられていない者の愚行ではないのか。(後略)

 

バッテリー〈6〉(教育画劇の創作文学)

バッテリー〈6〉(教育画劇の創作文学)

『バッテリー』を初めて読んだ時に、「これまでのスポーツ物語とは違う!」というワクワク感を与えてくれたのは、こういうことだったんですね。秋にちなんで、「スポーツ関係」の本ってあるかな?と思ったけど、無い理由も分かりました。
 
 いつもの、ついでに言うと、私は自分で体を動かすのも好きだけど、かなりのスポーツ観戦大好きな子供だった。とにかく美しいプレーをことのほか好み、プロ野球で言えば
①巨人にいた高田(レフト時代。私にとって、サードになってからの高田は、高田で はない)が、レフト線に転がり、普通なら2ベースになるゴロを2塁でアウトにする返 球。
②江夏のオールスター9人連続三振。
 高校野球
①江川、雨の中の押し出し四球。(泣いた)
などなど。でも、我が家では、私が、長島の引退会見「巨人軍は永遠に不滅です」を聞きながら泣いた話をすると、あきれられる。今となっては、あれほど熱狂したプロ野球だったのにね。のレベルです。私のとって最後の野球は、イチロ−の海外移籍前の神戸での試合かな〜。

 今日、毎月配信してもらっている「児童文学書評」の「あとがき大全」(金原瑞人)を読んでいたら、あさのあつこさんの言葉が引用されていた。孫引きですみませんが
 

 これは一般書でもそうかもしれませんが、私は児童書においてただ一つタブーがあるとしたら、それは性的表現とか、殺人などといったことではなく、絶望だろうと思うのです。人生ってこんなものだとか、死んで終わりだとか、破滅して終わりだとか、それだけは語りたくない。ありきたりな希望ではなくて、ほんとうにささやかではあっても、やはり若い方たちがこれから生きて行く価値のある未来があるんじゃないかみたいなことを語りたい。(「読書のいずみ」全国大学生協協同組合連合会)

 今日は、この一文を読んで、書くことをこの内容に変えました。私が、どうして、いつまでも児童書を読み続けるのか。やはり、光の見える成長物語の魅力なのでしょう。それは、私にとって、多分、教師を続けるのと同じ意味があります。